honey

honey (ショコラノベルス)

honey (ショコラノベルス)

ハチミツでトロトロの表紙がナイスな一冊。
雪代さんで読んだことあるのといえば、新妻ふわふわとかなので、彼女の受は内気で臆病でいぢめられっこ、というイメージなのですが、この作品の受はものすごいツンデレでした。物語のテーマとしては、記憶喪失モノで、しょっぱなツンデレだった受が階段から転落して記憶喪失になった後は、素直な天然ちゃんになってしまうという・・・、一度で2パターンの受が読める美味しい作品。
受に畳み掛けるように襲ってくる不幸に、ほんと、同情しちゃいました。父親が浮気相手と事故死、母親もその後すぐ病死、一緒に暮らすナイショだけど好きな男には恋人がいて、ケンカの挙句記憶喪失。記憶をなくしてる間に結ばれた攻とは一夜限りで、記憶を取り戻した時にはすべて忘れてしまってて元通り、かと思えば今度は交通事故で入院。・・・、こんなにも可哀想にしなくても・・・。
攻の貴志は、最初受の史緒に興味もないし、もともと情が薄いタイプみたいで、冷たくてイヤな男と思ってたのですが、天然シオに振り回されているうちにだんだん人間らしい優しさを持つようになってきました。身寄りのない史緒を切り捨てられないあたり、冷たいばかりではないと思うのですが。
ケーキに蜂蜜をかけて食べる、という貴志の嘘に、幸せそうに食べるシオが可愛くてしょうがなかったです。そのシーンが、シオが貴志とすごした幸せな記憶として残っていて、記憶を取り戻した後も、蜂蜜をかけたケーキを食べると幸せな気持ちになる史緒に泣けてきました。史緒のさみしがりやで意地っ張りな本質に気づいた貴志は、ずいぶん我慢強く気の長い男になってましたね。貴志がやさしくなったことで、今度は史緒のほうがだんだん素直になってきました。まぁ、あいかわらずツンデレでしたけど、ちょっとだけ。
結局、最後まで記憶を失っていた間のことは、思い出さないんですね。そう考えると消えてしまったシオの記憶がちょっと可哀想な気もする。シオと約束したから、貴志は忘れないでいてくれるだろうけどね。